【 PINTのものづくり vol.2 】天然素材を使う

PINTが考えるものづくりについて、第2弾です。
 
(前の記事)
vol.1 現代の民具を作る
 
前回ご紹介した、PINTが考え、作る「現代の民具」はこのようなものでした。
1)今の時代の中で、毎日使えて、長く使える道具
2)ものを考えるのは、使い手。暮らしのプロ=私たち一般の人
3)作るのは腕の確かな職人
 
前回は、主に考え方を書きましたが、今回はものづくりに焦点を当てたいと思います。
『素材について』
 
PINTの製品は全て天然素材をそのまま使っています。木、竹、リネン、植物、土、鉄など。
 
これは、天然素材ありきでものを作ることから始まったわけではなく、良いものを作るということから考えた結果、天然素材になりました。
 
先ほど紹介した、
1)今の時代の中で、毎日使えて、長く使える道具
のために、PINTが作りたい道具のポイントをいくつか挙げてみます。
 
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・道具として素材の特性が活かされている
・毎日使える、長く使える
・使っていて毎回楽しい
・見て触って心地良い
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こうして考えると、「強い」「劣化しない」「むしろ使っているうちに育つ」「経年変化が良い」というのが素材の条件として浮かんできます。製法にも関わりますが、素材においては、これを最も満たすのは天然素材と考えました。特に、使うほどに良くなる、育つというのは、天然素材の大きな特長だと思います。
 
天然素材について知りたいと思い、民俗学の文献をあたったり、産地に伺い職人から話を聞いたり、自らも使ううちに、この方向でものづくりをチャレンジし、深めてゆきたいという思いを強くしました。

何万年、何千年と人類が暮らし、繁栄してきました。例えばプラスチックに代表される石油製品が生まれ本格的に使われ始めたのはここ百年ほどと言われています。石油製品をはじめ、科学技術の発展により新しい素材が生まれ、新たなものや利便性を生み出しました。人口増加と、形を変えながら成長する経済と消費にも適合し、暮らしを便利に大きく変えてきました。全てを一括りにではできませんが、大量生産でマーケットに投入し続けるというのがこの方法です。ロスがなく安定して生産し供給できること、品質も均一なものにして、ぶれを抑えられることも大事なポイントになります。
 
逆に、天然素材を見てみると、今のマーケットの規模と形とは、相性は良くありません。ロスがある、安定していない、個体差がある、自然のものなのでぶれがないことがあり得ない。
例えば、天然木の無垢材は伐採から乾燥して製品にするまで非常に時間がかかりますし、乾燥させた中でも使えない部材もたくさん出てきます。製品にして、仕上げを例えばオイル塗装にすると、店頭(照明が強かったり乾燥が強かったりします)で反りが生じたりします。職人が店を構え直接使い手に売るのではなく、流通の間に様々な人や会社が介在するようになりました。売る専門のお店としては、生産に遅れが出たり、個体差があったり、説明や対応が少し面倒な素材製品はリスクになるので、できれば避けたくなります。また、ネット販売するにも、木目が一点一点異なります。現在ではなかなか取り扱い、販売しにくいものです。
 
それは事実なのですが、天然素材自体は何も変わっていません。流通都合ではなく向き合い、学び知れば、メリットもたくさんあるはずです(もちろんデメリットも)。単にマーケットや消費行動との相性がよくないというだけで消えゆくあるのはとてももったいないと思っています。ものづくりのあり方を見つめ、良さを知ってもらい、今の暮らしで使われるものを考え、販売の方法も見直すことで、使われ続ける一つのきっかけになれればとPINTは考えています。

人は、木や植物を活かしたり、あらゆる自然の素材とともに暮らしてきました。科学技術の発展以降とはスピードが違うとしても、この環境で着々と暮らしの営みを続けてきました。天然素材や昔々の暮らしが劣っているということはなく、使って良い素材だったからこそ、何百年、何千年と道具として使われ、世代を超えてアップデートされ続けたのだと思います。
今は、暮らし方も大きく変わりましたが、だからこそ、その中で新たな天然素材のポテンシャルも出てくるのではないでしょうか。
 
天然素材の中でも、PINTは日本で長く使われてきた素材を選んでいます。古く歴史を遡れば、もちろん今のような流通はなかったので、輸入材や輸入品は多くはありませんでした。技術が大陸から伝わってきても、それは人の移動とともに伝わり、素材と環境は暮らす土地に合わせながら発展してきました。ですから、自然と暮らす地域で採れる素材が使われてきました。そうした制約条件によるものでしたが、結果的にそれは理に適ったものでもありました。気温や湿度などの気候環境からできた素材は、やはりその土地で使われるのが無理なく負担が少ないです。
 
淘汰されずに使われ続けたのは、やはりその良さや効用があってのことだと思います。日本は、山と木が豊富な島国。木の食器や箸が使われ、高温湿潤な気候に適した麻が好まれ、水が綺麗なことは染めにも少なからず関係があるはずです。日本の気候や風土は変わりないので、この土地で古くから使われ続けてきた素材が、日本の今の暮らしの道具を作るときには最適だと考えています。
 
 
こんな理由で、PINTでは日本で長く使われてきた天然素材のものづくりをしています。
 
 
次回はPINTのものづくりの「製法」を紹介します。
 
 
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